「間違いだらけの住宅造り」(川辺書林)入江建久教授の「無謀すぎる室内空気対策」より転載
近年、アレルギーにかかる人の割合が上昇しており、これは先進諸国いずれの国にも共通する現象と言われている。とくに気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎などの小児のアレルギー疾患が著しく増え問題となっている。
アレルギーぞうかの原因として、住環境や食生活の変化、スギ花粉や大気の汚染、家庭・交友など人間環境の変化等さまざまなものが挙げられるが、最大の課題はアレルギーという「過剰防衛反応」を起こさせる外界の「異物」であるアレルゲンをどうコントロールするかである。アトピー性皮膚炎などは食物だけが関係しているように思われがちだが、今では住環境に起因する要素も非常に大きい関連をもつことがわかってきている。
空気中のアレルゲンとしてダニとカビ(また最近ではペットも)が挙げられるが、とりわけチリダニと呼ばれる種類のダニが問題で、そのふんや死骸がほこり(ハウスダスト)にまじって室内空気中を舞い、それにより発症したり悪化したりするアレルギーが大変多いことがわかってきた。チリダニはどの家庭にもいるもので、とくに人の「垢」や「フケ」、また食物くずも好む。何十種類というダニの中でも、ダニの大部分を占めているのがこのチリダニである。
アトピー性皮膚炎やスギ花粉症の患者も調べてみるとダニに感作されたものが大勢いて、ダニの影響の大きいことが知られている。
ダニは高温多湿を好み、上図のように夏に増加し、秋の深まりとともに減少するが、一年を通して死滅することはない。夏に大量にできたダニのアルゲンのもとは、秋がきて細かなチリとなり、ほこりと共に舞い上がる。開放的であった夏の生活が、秋に入って閉鎖的になり、窓を密閉するようになって、晩秋の十一月頃ダニアレルゲンの細かな粒子の濃度は、一年中で最高になる。
小児ぜん息の発作が一番起こるのもこの時期といわれている。
下図は東京の集合住宅の測定例であるが、とくにDerTと呼ばれるアレルギー活性の強いダニのふんに多く含まれるアレルゲンが、どの家庭でも秋に多くなっていることがわかる。
ダニ対策としては基本的に「ダニを増やさないこと」と「ダニアレルゲンを取り除くこと」につきる。
前者の具体策としては(多くの場合カビ対策も同じであるが)
後者のアレルゲン除去については「清掃」につきる。アレルギー対策は「一に掃除、二に掃除、三、四がなくて五に掃除」といわれるほど「きれいにすること(清掃)・きれいにしやすくすること(整理整頓)」が肝心である。また、布団の丸洗いは中にたまったアレルゲンもほとんど洗い流せるので有力な対策と言われている。
アトピー性皮膚病で長年悩まれていた患者さんも「エアープロット」で治癒し感謝されていますので、こちらを是非参照してみてください。
※追加情報
先日、NHKのためしてガッテンでダニの件を放映していました。
それによると
@布団を日光に干してもダニは死滅しない。
A掃除機でいくら吸ってもダニはカギ状の爪で繊維にしがみついているので取れない
B洗濯してもダニは取れない
・・・ではどうするか!ダニは50℃以上で一時間以上経過すると、ダニ本体のタンパク質が固まって死滅するそうです。
身近で50℃以上を1時間以上維持するには
@布団乾燥機で熱が漏れないように包んで加熱
A夏場の自家用車の中に放置
が確実とのことでした。