最近、農薬系防蟻剤の施工業者の間で「弊社はホウ酸系の防蟻剤ぺネザーブを使っていますので、健康に良いです・・」と言った言葉を耳にします。
そこで、ぺネザーブについて色々調べてみました。参考にしてください。
商 品 名:モクボーペネザーブ(Mokubo Peneserve)
製 造 元:大日本木材防腐株式会社
剤 型:水溶性保存材
成 分:ホウ素系化合物(40%)(食塩と同等の経口毒性値)
薬 剤 色:2色あり(イエロー、クリヤー)
稀 釈 率:5倍稀釈
用 途:木材の防腐、ナミダタケ防除
認定番号:(社)日本木材保存協会認定番号A-5429
(公財)文化財虫害研究所認定第11号
大日本木材防腐株式会社(鈴木 龍一郎社長)
名古屋市港区千鳥一丁目3番17号
営業内容
私の知り得た情報の範囲で、モクボーペネザーブと同じホウ酸系のエコボロンPROの比較をしてみましたので、参考にしてください。もし間違っていたら、こちらまでご指摘をお願いします・・。m(_ _)m
モクボーペネザーブ |
エコボロンPRO |
|
---|---|---|
ホウ酸濃度 | 8% | 15% |
防蟻効果 | 弱い | 強い(食被害実績ゼロ) |
価格 | 安い(¥17,600/16Kg) | 高い(?)(¥27,000/19Kg) |
荷姿 | 現場で薬液を希釈・調合 | 原液をそのまま塗布 |
質量減少率 | 3%(基準値3%)※1 | 0.1%(基準値3%) |
露地試験 | 未実施? | 2008年〜実施継続中 (於:京都大学生存研究所野外試験場) |
補償制度 | 無し? | 大手保険会社での補償あり(¥500/年) |
※1質量減少率とは、【JIS K 1571】で規定されている防蟻性能試験で、その許容値は「3(%)以下」となっています。(下表参照)
ここでのポイントは、ホウ酸塩の濃度です。エコパウダー社の試験実績から「ホウ酸塩は常温では8%で飽和状態となり、それ以上の濃度にはならない。食害実験の結果濃度8%では防蟻効果は不十分だった。そこで、濃度を上げるために工夫をして15%に濃くすることにより(特許)始めて完全な防蟻効果を確保できた。(エコパウダー社)」と言われています。
それが、上記の「質量減少率」の違いに表れています。モクボーベネザーブでは許容値ギリギリの3%となっていますが、一方のエコボロンは0.1%となっています。
JISによると「質量減少率」とは一定の条件下で白ありに食べられた量ですので、単純に考えると「防蟻性能」がエコボロンPROの30分の1しかないと言えるのではないでしょうか・・・。性能試験で一番重要な【質量減少率】が、許容値3%ギリギリでは少し心配ですね・・・。
2017年9月3日、重度CS(化学物質過敏症)の方からメールで問い合わせがありました。化学物質過敏症についてはこちらを参照してください。
※)最新こぼれ話
2015年、東本願寺の阿弥陀堂の防蟻・防腐工事に際して大手の設計会社殿が防蟻剤の採用に当たり、ホウ酸系で下記の4種類を自社内で比較・試験をされました。
1)モクボーペゼザーブ(大日本木材防腐社)
2)ティンボアPCO(リオティントミネラルズ社)≪ボロンデガード工法はこの粉をお湯で溶かして使用≫
3)ボラケア(ナイサス社)
4)エコボロンPRO(エコパウダー社)
その結果選ばれたのはやはりエコボロンPROでした。
その東本願寺阿弥陀堂をはじめ、二条城東大手門、高野山總寺院、熊本城本丸御殿などの施工状況については「エコボロンPRO採用現場写真」を参照願います。