WB工法「本当の省エネ健康住宅とは」(長文です)

この文章は2000年に「続・間違いだらけの住宅造り」として出版された本の一部です。このまま埋もれてしまうには惜しい内容となっておりますので敢えてご紹介します。今では少し古い表現もありますが、基本的にはこの文章の通りですのでそのまま引用します。

多少長文ですがご容赦を・・・。<(_ _)> (引用者:河野)

 

寺島今朝成 著

野放しのシックハウス
 シックハウス症候群(新築病)とは、住宅そのものに家の蒸れ・腐れを発生させ、住む人にはアレルギー、アトピー、ぜんそく、めまい、吐き気、倦怠感などの症状をもたらしており、発がん性なども指摘されています。家を新築・改築する施主にとっては、家族の健康という一番大切な問題に関わる事柄です。
 しかし、このシックハウスの原因、因果関係は大変に複雑であるため、公的な機関においても十分な研究がなされていないのが現状です。シックハウスに関する本はたくさん出版されていますが、その危険性を解説しているだけで、抜本的な解決策はほとんど打ち出されていません。

 最近は大手新聞社も被害者の声を生々しく伝えており、2000年5月7日付の朝日新聞の記事は衝撃的でした。またシックハウスについてテレビで取り上げられる機会も増えています。
 こうして、にわかに社会問題としてクローズアップされてきた背景には、今、全国で子供の被害患者数が数百万人に及ぶといわれるような悲惨な現状が横たわっています。
 公的機関も事の重大さにようやく重い腰を上げ、厚生省が全国24か所でホルムアルデヒドの濃度調査を行い、平成10年3月29日に新聞発表を行いました。それによると、高気密住宅にこもるホルムアルデヒドは厚生省指針値(0.08ppm)の6倍の0.48ppに達しています。
 政府自民党も平成12年5月には「シックハウス緊急対策推進委員会」を発足させ五省庁に指示を出しています。
 なぜここまでシックハウスに関する事態が悪化してしまったのでしょうか。
 平成11年に製造者責任法(PL法)が成立しましたが、住宅に関しては専門家の間で「骨抜き法」とまでいわれています。シックハウスによる病気はいくつかの要因が重なって複雑な因果関係にありますが、その因果関係を被害を受けたユーザーが解明しなければならないという内容であったためです。他の先進諸国では、製造業者が解明して因果関係の有無を証明しなければなりません。
 一般ユーザーには知識の面でも経済的にもおうした複雑な問題を証明できる余裕はありません。そのため、問題が野放しになっていたのです。
 住む人の健康に関わる重大な問題の責任を一般国民に押し付け、製造業者に対しては「10年保証」という別の問題にすり替えてしまったのです。
 はっきり言って、家の蒸れ腐れとは10年程度で現れるものではありません。また、10年で責任を逃れられるものではないのです。その間にも住む人の健康は因果関係がはっきりしないまま害されるのです。
 ガイドライン(指針値)という強制力のない目安だけを発表して、法規制をしないというこれまでの行政の無策が、住宅産業を危機感のない経済主導型にしてしまっているのではないでしょうか。

 

建築方法の変化とシックハウス
 もともと、日本の建築物は夏向きに造られてきました。高温多湿の風土で、梅雨時の多湿は病原菌の天国といえるほどであり、真夏は35℃で湿度も90%にも及びます。カビ・ダニなどが繁殖しやすく、住む人にとっては病気になりやすい環境といえます。

 こうした気候条件であるため、家は風通しのよい呼吸のする造りであったわけです。これによって住む人の健康が守られ、シックハウスとも無縁でした。
 そこへ、昭和45年頃から合板およびビニールクロスが出回り始め、気密性の高いプレハブ住宅が徐々に増えていきました。家全体も部屋も和風から洋風に変わり、入口ドアや窓の気密性が高まりました。部屋は床に合板、壁にビニールクロス、天井にもビニールクロスの窒息素材で仕上げた結果、見映えはよく、工期も短く、低コストで済み、冬は温かと表面上は「いいことずくめ」のようでした。
 その後、地球環境保護の問題意識が高まり、住宅産業界と公的機関は、家を高気密にすることによって暖かさを家の中に閉じこめる高気密高断熱の家を推奨し、これを省エネルギーの見本としてしまったのです。
 その結果、プレハブ住宅が幅をきかせ、日本建築の在来工法は激減していきました。在来工法は巻き返しを図り、合板やビニールクロスによる窒息気密住宅の方法を取り入れ、やはり高気密住宅としてしまったのです。
 このように日本の家造りが長年にわたって変化し、その変化がシックハウスという恐ろしい病気をもたらしました。しかし、住宅メーカーも公的機関も一般ユーザーもそれに気付かぬまま病気だけが潜行していったのです。
 現場では造っている大工の棟梁や日本建築の良さを理解している社長さんたちの中には、パネルによるプレハブ住宅が出始めた頃から、高気密の弊害に気をもむ人もいましたが、いかんせん時代の流れ、経済効率優先の考え方に逆らうことができず、今日に至っているのが現状です。
 シックハウスの最大の原因は、家を容器のような造りにしてしまう「高気密」にあります。この窒息状態の空間に、建材やプラスチック製品に含まれる化学物質(ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、パラジクロベンゼンなど)や、生活の中で使用されるスプレー、殺虫剤、芳香剤などがこもるため病気が引き起こされてしまうのです。

「施主」は「お客様」であってはならない 
 昭和40年頃まで家は「造るもの」、あるいは「建てるもの」であって、「買うもの」ではありませんでした。買うという言葉は中古住宅の場合に使われただけで、新築住宅ではけっしてそんな言葉は使いませんでした。
 昭和45年頃から合板によるプレハブ住宅が造られ始め、営業合戦の中で一般ユーザーが新築住宅でありながら「家を買う」という言葉を使うようになりました。
 ちょうどその頃から新築病(シックハウス症候群)の温床ができ始めています。シックハウスは呼吸の止められた家造りが最大の原因ですが、その頃からプレハブ規格住宅、建て売り住宅など、家造りは次第に施工業者主導となり、私ども大工が「お施主様」と呼ぶような工事が少なくなり、お施主様が「お客様」へと変わっていきました。「施主」と「お客」では大きな違いがあります。施主は家を建てる施工主であり、施工主は建築の総責任者となります。設計士や施工業者を選択し、家族の健康や夢を計画に組み込みながら、それぞれの専門家に知識や技術を提供させて、その家族に合った家造りが進められます。一つ一つの工程の中に家の性能と健康への配慮がされ、確認をしながら建築されていきます。
「お客」になってしまった施工主は専門家の知識を聞くこともなく、技術の確認をすることもなく、契約書に印鑑を押してひたすら完成を待って入居することになります。半生にわたって家庭経済を大きく左右する大事業であるにもかかわらず、新築についての家族のコミュニケーションを織り込むこともなく、計画段階の楽しみもなく、工程の一つ一つを見ることもなく、ひたすら完成を待つのです。待つのは長く感じるものですが、そんなお客の気持ちをくすぐるかのように「三か月で住居できます」などというセールストークが今や花盛りです。
 建築主(お施主様)には本来、工事を監督する義務があります。施主がそうした義務を放棄して「大手住宅メーカーだから安心だ」などと思い込んだり、パンフレットの写真を見て夢うつつの中でペタペタと印鑑をおしてしまうのです。
 住宅メーカーにとって「お施主様」は量産に向かない大変厄介な存在です。お客にはパンフレットで納得してもらい、システムキッチンやユニットバスに注文を付けさせる程度にしておけば住宅メーカーには好都合です。
 良い住宅を求めるためには、施主(建築主)はただのお客であってはならないのです。
「施工主」とは住宅建築の計画者であり施工管理者であり総責任者ですが、「お客様」とは住宅建築の債務者に過ぎません。お客は印鑑を押すだけでマイホーム造りに参加をしていると思い込んでいますが、債務(借金)だけを背負う消費者となっているのです。
 家造りがこのような仕組みになったのは大手資本の参入以来のことです。

 

家の構造とシックハウス
 昭和40年から今日までの35年間の住宅産業の歩みを振り返ってみると、シックハウスという恐ろしい病気は産業の合理化と経済主導の中で生まれ育ったことが明白です。そして今でも産業界と公的機関は小手先の対応でこの問題を避け、別の付加価値を高めて売り上げを維持しようという方向で動いています。
 シックハウス対策については、自然の恵みを軽視し、自然の驚異をあくまで人工的にコントロールしようとしているわけです。
 こうした中で、施工主は営業マンの甘言に惑わされることなく、何が正しく何が悪いかを自分で判断しなくてはなりません。

 

 住宅は大別すると、高層マンション(鉄筋鉄骨)、戸建て木造住宅、ログハウス(丸太小屋)の三つに分かれ、それぞれの特性に合った構造と素材が選択されています。
高層マンション
 鉄筋鉄骨によって高層に耐える強度を出し、狭い土地を立体的に使って集合住宅が造られます。鉄筋鉄骨造りは呼吸のできない素材であり、ドア・窓サッシが取り付けられた時点で窒息高気密空間となります。集合住宅に結露やカビ・ダニが多いのは基本的にこれが原因です。
 デパートや店舗などは容積が大きく人の出入りも頻繁で空調もされているので、人体に深刻な影響を及ぼすほどのことはありません。しかし、マンションの一戸は小さなコンクリートの箱であるため、建物は長持ちしますが、住む人の健康は害されています
木造住宅
 木造住宅は主に木材と土によって造られておりその一つ一つの材料が吸湿・放湿を繰り返しながら呼吸をしています。その呼吸によって住む人の健康と家の健康が保たれてきました。

 しかし、材料が呼吸するということは、伸びたり縮んだり曲がったりするため、四季を通じて材料が動いてしまいます。このため家にすき間が生じて冬はすきま風が吹き込み、無垢の床板などは汚れによっては毎日の手入れが必要になります。
 こうした煩わしさを解消し、量産によって資材を供給するために合板が開発されました。最初は家の一部に使われましたが、現在では家全体に使われるようになり、呼吸のできない木造住宅が大量に造られたのです。当初は経済効率の上から合板が使われましたが、省エネルギーの要請がこれに拍車をかけ窒息住宅が急増していきました。
 その結果、木造でありながら鉄筋鉄骨と同じ窒息住宅となり、家の寿命も数分の一程度に縮んでしまいました。昔の住宅に比べ近年の住宅が長持ちしないのはこのためです。
 近年の木造住宅はすき間風がなく見た目の外観はきれいになりましたが、住む人と家自体の健康は最悪の状態になっていることが少なくありません。シックハウスは合板とビニールクロスによって大量発生したといえます。
ログハウス
 カナダやアメリカ北部の乾燥した気候で森林が豊かな中で考えられた造りで、伐採された太い丸太を横に積み上げるという単純な方法で造られます。丸太の厚い壁が寒さを防ぎ、豊富な燃料によって暖をとるといった大変ぜいたくな住宅です。
 太い丸太は呼吸をし、丸太と丸太のすき間は適度な換気口となっており、自然と共存した造りになっています。しかし、木材は日本建築の10倍程度を必要とするため、地球資源の保護という点では問題があります。
この三つののタイプの住宅の中でも最も一般的な戸建木造住宅について、高気密およびシックハウスとの関係を簡単にまとめてみます。
@日本建築(在来軸組工法)
日本建築は伝統の技術だけにこだわり、健康で温かな家の開発を怠ってきたという批判は否めません。また、近年、高気密住宅の方向に向かってしまったことも歴史上の汚点といえます。しかし、日本の風土に合った建築様式であり、住む人の健康を考えると改良・開発の余地は大きいと思います。
Aプレハブ住宅
簡易な構造で強度を出すことができ、大変合理的な工法です。しかし、構造体をビニール素材で包んで高気密としてしまったため、現在のシックハウスの代表選手となってしまいました。
B2×4(ツーバイフォー)住宅
ログハウス(丸太小屋)の原始的建物から発展し、合理的な工法として普及しました。合板の開発によって強く安い家ができたのですが、日本建築のような健康に対する技術が不十分で荒削りです。結果的に窒息合板高気密住宅ができましたが、この2×4住宅は湿度の低いカナダやアメリカなど北米大陸でもシックハウスを引き起こしています。
C省エネ高気密住宅
省エネのために暖かさをビニール素材で包み込み、構造の如何を問わず住宅を窒息高気密にしてしまった工法です。あまりにも安易な手段といえます。地球資源保護のために開発された合板を使うことによって、住宅が自然環境に反した窒息気密となってしまっており、皮肉な結果ともいえます。ビニール素材による高気密は住む人をシックハウスにし、家自体の寿命も縮めています。

 

 このように新築病(シックハウス症候群)は家の造り方(構造)によって異なる背景があります。 
 シックハウスの引き起こされる工法とその原因をさらに詳しく見てみましょう。
@プレハブ 2×4住宅(合板パネル高気密工法)
構造がパネルであり、合板パネルは吸湿性・放湿性がなく、住宅の外壁ができた時点で窒息の箱となります。その箱の中に間仕切りをして部屋を造ります。構造用合板は湿度に弱く壁の中に湿気が入り込むと工法によっては軽量鉄骨が腐るため、ビニールシートを外壁と内壁に張り巡らし目張りをして仕上げます。このため二重三重の窒息高気密とはり、個室は二重の窒息の箱となっています。
A日本建築軸組工法にビニールを貼った住宅(高気密高断熱住宅)
本来、日本建築は構造的に呼吸をしていますが、省エネのために家全体にビニールを貼り目張りをして高気密高断熱としたため、家全体が窒息高気密住宅となっています。
Bビニールクロス仕上げ
ビニールクロスは吸湿・透湿性のない素材であり、これで仕上げた部屋はすべて窒息高気密の箱となっています。
C壁の中の通気を止めた住宅
壁の中の通気を止めてしまった構造は、たとえ部屋の中の壁を吸湿性のある素材で仕上げても通気が止まっているため、壁の中が蒸れてしまいます。一度湿気が壁の中に入ってしまうと通気の止まった壁は乾燥することなく壁の中が蒸れ腐れとなります。
D断熱による高気密住宅
家には外壁と内壁があり、壁の中は空洞となっています。その空洞の中に断熱材を入れて家全体を暖かくしますが、断熱材の種類と入れる位置によって次の三つに分かれます。
イ、内断熱
部屋の壁側(内壁)に断熱材を押し付ける方式のことをいいます。この方式だと部屋を暖房した際に熱の放出を止めるので効果的だと考えられていますが、断熱材はビニール袋に入っており、そのビニールが壁にピッタリ貼り付くので、ビニールが汗をかいてしまします。そのため部屋の壁は呼吸ができず窒息した高気密の部屋となります。
ロ、外断熱
外の壁に断熱材を押し付けるため、部屋の内側の壁が暖房によって温められた時に壁の中のすき間の空気が上昇気流の現象を起こし寒くなってしまい、内壁は結露を起こします。部屋の壁は呼吸ができますが、壁の中の空間が冷却層となってしまします。
ハ、全面ブローイング工法
壁の空洞全面に紙やナイロンなどの細かなクズを吹き込んで断熱する方式です。全面にブローイングされるため通気が止められ部屋の壁が吸った湿気は断熱材が吸うことになり、蒸れ腐れとなります。また、吹き込まれた紙やナイロンなどの断熱材は長年のうちに下に下がり壁の中に空洞部ができ、ここに結露が生じます。結局、壁の中の通気が止められてしまっているため、カビが発生します。

 

以上、記した通り、家が窒息気密構造となったため、住む人が病気になってしまったのです。

 

プレハブ住宅の功罪
 日本の建築文化の歴史を変えたプレハブ住宅は、大手資本が住宅産業に参入し始めた昭和40年頃から本格的に住宅として開発され、売り出されました。この三十年を振り返れば、日本の住宅が狂い始めた経過が理解できます。
 なぜプレハブ住宅は日本の風土に合わないか、また風土に合わないプレハブ住宅を大手資本はなぜ開発をしオリジナル商品として売り出したのでしょうか。
 プレハブの工場生産による現地組み立て方式は、もともと住宅造りのために開発されたものではなく、高層ビルの工事現場の事務所や養豚・養鶏用などの農業用ハウスから始まっています。簡易に組立ができ、移設も可能で、安くできるので業務用として重宝に幅広く利用されるようになりました。
 新建材の開発により、家の外壁、部屋の中の壁が塗り壁という方法をとらなくても壁ができるようになり、釘で打ちつけるだけで家ができるようになってプレハブ住宅の誕生となったのが昭和45年、今から30年ほど前のことです。
 プレハブはパネルの釘打ち工法であるため特殊な技術も必要なく、工程的にも安価で工場で大量生産ができるので、大資本がその経済的メリットを追って家造りに参入してきたわけです。大手メーカーはオリジナル住宅を大量生産するために大工の特殊技術の削減を図り、構造的な弱さは家のデザインの良さで隠すという方向に向かいました。
 メーカーがこぞってプレハブを推し進めた理由は、一言でいうならば、大資本による営利追求にあったわけです。
 プレハブは構造的にパネル工法ですが、パネルには合板またはセメント板(窒息気密材)が壁・屋根・床に使われています。したがって、家の外観ができあがった時点で窒息住宅となっています。これは人間が一年中、雨合羽を着たのと同じ状態といえます。
 このような基本構造の中に部屋を造り壁を貼り、仕上の化粧をするので、壁の中に湿気が入れば家自体が不健康であることは説明の必要もないでしょう。
 そこで、壁の中に湿気が入り込まないように外壁・内壁にビニールシートを貼るという方法がとられました。しかし、10年〜15年でかべの中は蒸れ・腐れが生じます。外壁・内壁に二重・三重お防湿シートを貼ったため、窒息住宅となってしまっています。先ほどの雨合羽の例でいうと、下着にナイロンを着た上に合羽を羽織って一年中過ごしすという想像を絶するような状態に家はおかれているのです。
 その結果、家全体が汗をかいて結露し、カビが生え、ダニが出るという健康には最悪の状態となっています。まだこの頃は窓はサッシではなく木製の引き違い戸が多く、家全体の気密性能もあまり高くなかったので、化学物質による被害は少なかったものと思われます。
 その後、プレハブ誕生から20年が経過した頃から省エネルギー対策が始まり、窓および出入口のドアなどはサッシとなって気密性が一段と高まり、本格的な高気密窒息住宅となりました。結露は一層ひどくなり、化学物質も人体に影響を及ぼす濃度となってしまったのです。
 日本は高温多湿の国なので、プレハブは構造的に日本の風土に合わないわけです。

 

窒息住宅と呼吸する家
建物である家が呼吸をするということは、なかなか実感として理解できないかもしれません。また、家の呼吸ということを間違って理解して建築してしまう例も見かけます。
 家が呼吸するための絶対条件は
1)部屋の伊壁を透湿材で仕上げること
2)家の外壁と内壁のうち内壁に空気が流通すること
この二つに尽きます。こんな簡単なことが守られていないのが現代の住宅の実情です。壁にビニールクロスを貼ったり、壁の中に空気を通すと冬寒いからと、壁の中の通気を殺してしまっているのが高気密高断熱住宅なのです。

 家の中で生活をすると大量の水分が発散されます。呼吸をする家はその水分を壁が吸収し(皮膚呼吸)、その湿気は内壁層に入って屋根に抜けていきます(気管支呼吸)。これが家の呼吸です。これによって化学物質や湿気がこもるのを防ぎ、シックハウスと家の蒸れ腐れを解消してくれるのです。
 木材は長期にわたり湿気を吸ったり吐いたりします。例えば杉の木の場合、一日に外側から三ミリまでしか湿気を吸収しません。三センチの板が湿気を吸うには10日がかかり、水分を放出するのにも10日はかかります。これが木の呼吸です。

 

 家造りの良し悪しのポイントは家が窒息しているか呼吸しているかにあります。窒息住宅とは、いわゆる「皮膚呼吸」も「気管支呼吸」もできない構造をいいます。
 住宅の皮膚呼吸とは、人間が汗をかいたり皮膚から酸素補給をするのと同じです。住宅の場合の皮膚とは、主に部屋の壁のことで、内壁はもちろん外壁も呼吸のできる素材で仕上げることが望ましいわけです。皮膚呼吸をするためには、透湿性のある素材を使う必要がありますが、透湿性素材と非透湿性素材とは異なるので注意が必要です。

 住宅の気管支呼吸とは、人間が口や鼻で呼吸をして肺に酸素を送るのと同じです。家の気管支とは壁の中の通気層のことですが、外壁と構造用合板の間にある外通気層は気管支には当たらない(役に立たない)ので注意が必要です。

 

 最近行われている外壁の裏の外通気層は、サイディングが曲がって壁のクレームとなてしまうため、サイディングの裏に通気を通すことによりサイディングの狂いをなくすように造られた通気層であり、家の呼吸にはなっていません。
 いわゆる外通気層は夏の焼け込を防ぐために大変重要ですが、家が呼吸していることにはならず、シックハウスの解消とは無縁です。

 省エネルギーが叫ばれて以来、家は高気密によってすき間風をなくして暖かさを外に逃がさない方法をとってきました。その結果、家の皮膚呼吸と気管支呼吸が止められ窒息住宅となってしまい、シックハウスが生まれたのです。
 窒息住宅は密閉した容器と同じ構造となっています。その密閉容器の中に人が住み、人が生活の中から出す水分、芳香剤、殺虫剤、防腐剤、白あり駆除剤、ホルマリン系建材や生活用品から出る化学物質など多種多様な粒子が部屋の空気中に溶け込みます。
 こうした環境の中で、冬は暖房をし、夏はエアコンで冷やして快適だと思っているのです。
 家はまさに生活の場そのものです。住む人の健康を考え、家の造りの良し悪しを真剣に考えなければならない時期が来ているのです。

 

イ、結露の発生原因

人間は一人一日当たり最低一リットルの水分を発散しています。冬には四人家族で四リットルの水分を家の中に放出して、その中で暖房をしていることになります。
その場合、家の中の湿度は80~90%となり、浴室内と同じ状態となっています。結露が起きるのは当然です。下表「結露温度」を参照してください。

 

 

ロ、カビ・ダニの発生原因
 カビ・ダニの発生は湿度とよどんだ空気に原因があります。カビもダニも多湿を好み、カビが生えればカビを食べるダニが繁殖します。強制換気のダクトはカビ・ダニの生産工場になっています。
ハ、家の蒸れ腐れの原因
   蒸れ腐れは空気が淀んで酸素の欠乏となり、腐敗菌が発生することが原因で始まります。住宅に暖かさを求めるために行われた気密化による空気の淀みが一番の原因です。
 本来、木材は強いもので多少濡れても通気(風通し)が良く呼吸ができれば蒸れ・腐れはありません。現在起きている家の蒸れ・腐れは温かさを求めるため、高気密という間違った方法をとったために発生しているのです。
 下の写真は平成11年9月から行った、長野県佐久市の白田邸における改築工事に伴う家の構造的な実態調査の模様です。

築100年の家ですが、床下の蒸れ腐れ・白ありによる被害等はなく、土台・柱・桁は100年経過しても木がもつねばりがあり健康そのものです。内装は明治時代の風格を表しています。そこで、白田邸の歴史と日本の建築文化の美観と住環境を保ちながら、リフォームによる再生を図りました。
 下記の写真は基礎玉石との接合部です。土台は地場の杉で100年経過しても蒸れ腐れが生じておらず、健康そのものです。また、白ありによる被害もありません。

 

 最近、都市化が進み白田邸の地盤が低くなってしまい、調査時点では床下の土がべっとりと濡れており、湿地のような状態でしたが、玉石の基礎という土台を点で受ける方法が土台を保護していたものと思われます。

 

 白ありも風通しが良く空気にさらされた環境の土台には湿度が高くてもはいらないことが実証されました。 下の写真のように、玉石の基礎はタコという土を固める道具によって突き固められます。土台は玉石の形状に合わせて堀り刻まれ、土台と基礎玉石とは密着しています。

 この状態が縦横無数にあるため、アンカーボルトがなくても土台は玉石からずれることなく地面にしっかりと根を張っているのです。

 

下記の写真はこの家で、昔の家では文化生活の象徴であった風呂場を20年ほど前に改装した部分でです。土台はモルタルによって囲まれて呼吸ができなくなった時点から蒸れ腐れが始まり、20年で影も形もなくなっています。
 このように100年経過した住宅から私たちは多くの知恵を学ばなくてはならないのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 
 
 
健康な家の条件
1.シックハウス対策
 建材、家具などに使われたホルマリンはほんの微量ずつ温かになるにつれて放散され空気中に出てきます。新築または家具をいれてから一番多く出るのは3年〜5年と言われています。
 現在建築に使われている化学物質の中で人体に悪影響を及ぼすものは少なくありません。
 ホルムアルデヒド(ホルマリン)は主に合板の接着剤に使われており、トルエンは塗料の溶剤として使われるシンナーに含まれています。また、キシレンは合成樹脂などのプラスチック製品の原料として使われ、パラジクロロベンゼンは防虫剤として使用されています。
 厚生省は、このホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、パラジクロロベンゼンの4種類を有害化学物質と定め、室内濃度の指針を打ち出しました。
 窒息住宅の合板パネル住宅や高気密住宅の室内汚染はホルムアルデヒドで0.48ppm(厚生省全国24都道府県調べ)となっています。
 白あり駆除をし、木材に防虫剤をたっぷり塗って高気密にした住宅は、薬品漬けの材料をビニールですっぽりと包んだ状態です。
 最近の住宅関係のパンフレット「人にやさしい木の恵み」などと木材の利点をアピールしたり、炭や珪藻土、ホルムアルデヒド吸着紙といった素材を売り物にして、ホルマリン系素材との比較によって数値で訴えかけているものが少なくありません。
 確かに健康によい素材はありますが、それらがビニール素材で包まれていたのでは効果は半減どころか、かえって水分や化学物質を飽和状態まで抱え込んでしまい逆効果になりかねません。
 また、F1あるいはE0など、ホルムアルデヒドの濃度を下げた建材によってシックハウスを回避しようと開発が進められています。
 しかし、合板などの新建材が使われてきたこれまでの経過を振り返ってみると、ホルマリンがホルムアルデヒドとしてシックハウスを引き起こしていることが分かるまで20年の年月が必要でした。その間には合板ベニヤおよび木材から虫が出て大変な思いをした時期もありました。
 今後、そのホルマリンを少なくしてシックハウス対策に取り組もうとしています。防虫効果を維持するためにホルマリンに替えて新たな薬品が使われるとしたら、5年10年後にまた新たな病気が発生しないとも限りません。
 低ホルムの建材だけに頼るのではなく、家が呼吸をする構造にすることによって、化学物質のこもらない健康な家とすることが重要です。
 現在造られている住宅は、昔の家とは構造も材料もすべて違っていることを知ったうえで住宅の工法を選択しなければなりません。家全体を支える材料が化学物質を抱え込んでいることも少なくありません。
 昔は裏山の立木を伐採して製材をし大工さんが建てました。現在は構造材の90%以上は外国から輸入されており、港では外注処理のため密閉した場所で一週間ほど薬品処理をしています。
 また、パネル工法の合板は原木の丸太を紙のように薄くむいて木の縦目と横目を交互にして強力な接着剤で張り合わせています。接着剤には防虫・防腐しょりのための薬剤が多量に使われています。
 このように、現在の住宅は構造材から仕上材の床・壁・天井に至るまで薬品のしみ込んだ木材によって造られています。そこへさらに過剰と思えるほど白あり駆除剤を床下にないて、ビニール素材でスッポリ覆った家が造られているわけです。
 室内で揮発している薬品および化学物質は、
一、白アリ駆除の劇薬
二、木材防虫処理の薬品
三、合板の防虫防腐剤
四、木材の防腐剤
五、接着剤の防虫防カビ剤
六、プラスチック製品による化学物質
七、その他内装材に使用されている化学物質
 この他、生活用品の関係では、家具に使われている化学物質、抗菌剤、除菌剤、殺虫剤、芳香剤、プラスチック製品に含まれる化学物質などが室内に浮遊しています。ここへ生活の中で大量の水分が毎日発散されているわけです。これらはすべて目に見えませんが、いずれも湿気に溶け込んでいます。

 

 シックハウスの解決法はそれほど難しいことではありません。簡単にいうと、家に呼吸をさせればいいのです。人が生活の中で出す水分(湿気)を壁や天井に吸収させるだけで室内に化学物質はこもりません。
 しかし、壁の中に湿気が入るだけでは、家の蒸れ腐れが発生します。そこで、壁の中に通気層を作り、いわゆる「皮膚呼吸」と「気管支呼吸」をさせることで湿気と化学物質は排出されます。
 壁の中を通気させると夏は涼しくなりますが、冬は寒くて省エネにはなりません。そこで夏と冬とで壁の中の通気をコントロールすることにより夏には涼しく冬には暖かく、しかも化学物質のこもらない理想の家が出来上がります。
二、結露の解決法
 結露は冬にガラス窓につく水滴が最も目につき分かりやすいものです。しかし、その他にもありとあらゆる所で結露は発生しています。
 まず合板に打った釘、通気が殺された壁の中、空気が淀んだ押入れの中、部屋に置かれたタンスの裏、極端な売位は床のフローリング、小屋裏の断熱材などさまざまです。
 部屋の窓ガラスが結露していれば、家全体も結露しています。また、家をビニールシートや合板で造り強制換気システムを取付けると窓の結露は無くなりますが、壁の中が結露を起し(壁体内結露)蒸れ腐れが確実に進んでいます。
 家の結露を解消する方法は意外と簡単です。
一、壁、屋根に合板を使用しない
二、床、壁、天井に防湿ビニールシートおよびビニールクロスを使用しない
三、壁の中の通気を止めない
この三項目を守るだけで結露はなくなります。
本物の家は優れた調湿能力を持っています。長期にわたって湿気を吸放出する木材と短期に吸湿・放湿をする壁材とのバランスによって生活の中で出る水分をコントロールすることができるのです。
 呼吸を止められた高気密住宅は生活の中から出る湿気がこもるだけで、室内は絶えず80〜90%の湿度になっています。外気の湿度が低いので湿気は外に出ようとしても、合板やビニールシートによってさえぎられて吸湿・放湿ができなくなっているのです。
 結露は家の呼吸によって解決します。
三、カビ・ダニ対策
 カビ・ダニは湿気を好んで繁殖します。生活の中で発生する大量の水分を何らかの方法で家の外へ排出しなければカビ・ダニの発生を抑制することはできません。室内の通気をよくして空気の淀んだ場所をなくし、家がもっている優れた調湿機能を最大限に生かしてやることです。そのためには
一、部屋の壁・天井を透湿材で仕上げる
二、壁の中に通気層を作り、床下から屋根の棟に通す
三、部屋に空気が淀んだ場所をなくす
 この三項目を守るだけでカビ・ダニの問題は解決します。「一」の部屋の壁・天井を透湿材で仕上げることは、とても簡単なことであり費用もかかりません。現在使われている壁下地材、石膏ボードは透湿材です。仕上げ材は透湿性のあるクロスでなければならないので選択を誤らないようにしたいものです。この他、和紙、布クロス、無垢材なども透湿材です。内壁の仕上げによって家は皮膚呼吸をします。
「二」の壁の中の通気層は、とかく断熱のために通気を止めて効果を高めがちです。この通気層を床下から屋根まで通すことによって家が気管支呼吸をすることができます。

 

四、家の蒸れ・腐れ対策
 蒸れ・腐れはカビ・ダニの発生条件とまったく同じであり、空気が淀んだ所から始まります。しかし、蒸れ・腐れは外から見えない壁の中で発生するので気がつきにくいものです。蒸れ・腐れ防止の三原則は、
一、床下から屋根の棟に抜ける通気道を壁の中にとる
二、床板と床下断熱材とに10mm以上のすき間をとる
三、床下に過剰に防湿シートを敷いたり、土間コンクリート打ちをしない
「一」の通気道は、冬は部屋を暖房するため壁が温まり壁の中に上昇気流が起き、夏は外壁が直射によって温まるため壁の中にやはり上昇気流が起きるので、壁の中は常に新鮮な空気が動いています。こうして家を支える構造自体が呼吸をすることになります。
「二」の床は部屋の中で一番湿気の多い場所であり、床と天井の湿度を比較すると10%は違います。湿気は夜露と同じで冷えると床に降りてきます。昔は床材に無垢の材料を使っていましたが、現在は合板が主流です。無垢材は湿気を吸収しますが、合板は湿気を吸ってくれないので、床板と断熱材の間に空気層が必要になります。このすき間から湿気が放出されるのです。
「三」については、自然の湿気は地生気(ちえき)といって木材には必要です。木は建築材になっても呼吸をしており、乾燥しすぎるとモロモロになり、湿度が高く通気が止まると腐ってしまいます。
 昨今は床下に防湿シートを敷いたり、土間コンクリートを打つことが多いのですが、大地から出る湿気は建築材にとっては栄養剤でもあるのです。
 公庫基準の中に床下防湿をし土間コンクリートを打てば床下の換気孔がなくとも地面から湿気が上がらないので良いとされていますが、あまりにも単純な発想です。湿気はどこへでも入り込み、一度は言ったらなかなか出ません。

 

五、家の長期耐久
 公庫基準では木造住宅の耐久年数は25年ですが、気密住宅の場合、現実に15年〜18年で蒸れ腐れが生じています。軽量鉄骨住宅では耐久年数が30年であるにもかかわらず、柱は錆び、壁の中は蒸れ腐れとなってしまっているのです。
 高耐久については柱の太さは120mm角以上などの公庫基準があります。しかし、長期耐久となれば、何も基準がないのが現状です。基準を作ることができないのです、。
 今までの公庫基準の中で最も矛盾していることは100年以上現存している木王住宅の歴史を無視して木造住宅の耐久年数を25年とし、軽量鉄骨造りの合板パネル気密住宅を30年の耐用年数として長期にわたり融資していることです。
 ところが、軽量鉄骨気密住宅は15年から18年で家の蒸れ腐れが進んでいます。また、省エネ基準では家を高気密にしてその気密の数値が良いほど省エネ住宅としています。
 家の造りが変わり始めて35年、目先のことだけにとらわれ、寒ければ気密にし、蒸し暑ければ冷房を入れ、病気になれば強制換気をし、家が腐れば寿命といって片づけ、強制換気によって弊害が出れば空気清浄機という高い機械を作って売りつける・・・・。これが今まで歩んできた住宅産業の実態なのです。

 

 日本には建築基準法があり、短期・長期の荷重、耐震、風圧、積雪の強度計算などが義務付けられています。阪神大震災以来、この住宅の強度について誤った報道がなされ、木造住宅は耐久性がないといった誤解が広がっているのは非常に残念です。
 あの震災以来、高耐久の必要性が再認識され、耐震強度は全体的に向上していますが、この強度の高め方にも問題があります。
 木造住宅に鉄筋鉄骨の発想を当てはめ、常に硬直的な強さによって耐震性を高めようとしています。ところが、木と金属は相性が悪い場面も少なくありません。木は衝撃を柔軟に吸収して分散させますが、金属は直接的・硬直的に衝撃を伝えます。また、高気密住宅の金属は結露しやすく、木との接点にある金属は錆び、木はその影響で腐れることになります。

 また、合板住宅は大量の釘によって合板を材木に止めて強度を出していますが、合板は湿度に弱いためビニールシートで覆って保護しています。そのため気密性が高まり湿気がこもって釘に結露がしやすくなり、合板はその結露を吸って腐れていきます。結露した釘は15年〜20年で錆びて三分の一の太さになってしまします。
 このように家の結露は長期耐久にとって最大の敵となっています。窓ガラスが結露していれば、か習う壁の中の釘や金属は結露しています。どんなに高耐久・高耐震を謳っても、15年〜20年で接合部分の釘や金属が錆びて周囲が腐ってしまいます。
 呼吸のできない高気密住宅に高耐久・長期耐久はあり得ないのです。

 

 

高気密高断熱住宅とは
 現在、省エネを謳い文句に数十社のメーカーが高気密高断熱工法の住宅を競って販売しています。その増加ぶりに比例してシックハウス症候群に苦しむ人も増えています。「省エネ」という言葉だけにつられて、健康問題をないがしろにしてきた結果です。
 呼吸のできない窒息高気密住宅とシックハウスの因果関係については、これまで述べてきた通りです。以下では、高気密高断熱住宅の問題点を具体的に解説します。
イ、高気密高断熱住宅の室内湿度
 高気密住宅は基本的には容器を造る発想であり、家に呼吸をさせるという認識が欠けています。窒息高気密住宅の室内は湿度が80%〜90%となり、結露やカビ、化学物質の滞留がありますが、呼吸する家の室内は40%〜55%で結露やカビの心配は少なく、化学物質もこもりません。
ロ、換気システムは生命維持装置
 ビニール気密、合板気密によって呼吸のできない窒息住宅ができ、15年、20年という長い間、消費者が人体実験にさらされた末にシックハウスという病気が発見されました。そこで、家の中の空気が悪いから、ということで強制的な換気による空気の入れ替えを図るのが換気システムです。これは既に病気になってしまった人に人工呼吸器などの生命維持装置を取付けるのと同じ論理であり、抜本的な解決策にはなっておらず、やはり安易な発想といえるでしょう。
 最近は「計画換気」とか「換気積算」という言葉が宣伝に使われていますが、これがすべての問題を解決し健康を保障してくれるのでしょうか?
 家具や間仕切りの多い家の空気ん流れは複雑であり、一カ所から空気を入れて出すという方法では部屋全体の空気は動かず、空気は完全には入れ替わりません。換気計算とは机の上の計算に過ぎないのです。
 また、新築後の半年ぐらいは換気装置(ダクト)や送風機はきれいですが、二年、三年と経過するうちにダクト内は湿気とホコリでカビの発生源となっており、ダニが繁殖してダクトから吐き出されていることが少なくありません。
 健康な体には医者や薬が必要ないように、本来、家も健康であれば換気システムという呼吸器は必要がありません。新築時から呼吸器が取り付けられ、一生はずすことができないのが高気密住宅です。つまり、換気システムがないと住めないのが高気密住宅なのです。これはある意味で欠陥住宅であり、換気システムはまさに生命維持装置であるわけです。
 計画換気というと聞こえはいいのですが、業界内では「強制換気」という言い方をしているほど、自然に反した無理のあるシステムなのです。
 換気システム(強制換気)の構造は別図の通りです。図は空気の動きを単純化して描いていますが、実際は空気の動きはもっと複雑で動きにくいものです。こうして家の中に通気道を造り、酸素の量を計算して空気を入れ替えようとしているわけですが、このシステムの弊害は後を絶ちません。その問題点は以下の通りです。

 

一、配管の中が結露する
天井裏に造られる空気の通り道は通常アルミのジャバラによって配管されており、曲がりくねって上下にたわむため、配管の中にも空気の淀みが生じます。
部屋の中から出る水分・湿気が温められ配管の中を通過していく時に冷えて水滴となり、配管の中が結露します。ホコリも付着しカビ・ダニの温床となっています。これによる弊害・被害の事例は次の通りです。
イ、配管(ダクト)内のカビ・ダニが吹き出し子供がぜんそくになった例。ある住宅メーカーの築2年の家に住む子供さんがえんそくになり、医者がカビによるぜんそくと診断。天井裏を調べたところ、ダクト内にホコリとカビがビッシリ付着しクモが巣を張っており、詰まっている箇所もありました。
ロ、通気道は各室の天井と天井をつなげているため、隣の部屋の音、一階二階の音が筒抜けとなりプライバシーが保たれない。
ハ、空気を送るファンの音が通気道(ダクト)を通り、絶えず耳鳴り音がして眠れない。
ニ、台所で料理した臭いがダクトを通り他の部屋まで臭う。
ホ、高齢者介護をしている家で家中に簡易トイレの臭いが回ってしまう。
ヘ、家の中で一人がかぜをひくとウイルスがダクト内を回るため家族中がかぜをひいてなかなか直らない。
二、空気は吹き出し口から出口までの一本の線上を動くため、死角となった場所の空気は動かない。
これによる弊害・被害の事例は次の通りです。
イ、化学物質、ホルムアルデヒドの濃度が高い
ロ、タンスの裏がカビている
ハ、窓ガラスが結露する
ニ、押入れの中が結露してカビてしまう
三、熱交換器による省エネ性能は計算だけ
イ、熱交換器自体が原則的には不要なものなので無駄
ロ、温めた空気を外に出すのと、外の新鮮な冷たい空気を入れるのを同時に行い、両者がすれ違う時に熱を移行させるというシステムですが、そのためにはすれ違う断面を長くするために迷路のように長くする必要があります。この長い配管にホコリが付着し、一年ほどで機能は半減します。また、暖かい空気と冷たい空気が背中合わせになるため結露が発生します。
伝家の宝刀のようにいわれる換気システムはこのような問題点を抱えており、計画換気はただの計画だけに終わっています。入居して1〜2年するとこうした弊害が散見されるようになります。
高気密住宅になくてはならない装置ですらこの状態ですから、高気密住宅そのものの危険性は何ら解消されていません。
四、換気計算は信用できるのか
 ペットボトルの内部と同様な室内環境にある窒息住宅は、その内部を複雑に間仕切りをし、その中で人が水分を発散したり化学物質が浮遊しているので、計画的に酸素を送り込んで空気を入れ替える必要があるのです。
 緻密な計算をして機械の能力を定めて毎時何立方メートルという空気を送り込むのですが、細かく区切られて家具などが置かれた部屋から部屋へと空気を送り込んでも、計算通りに空気は動いてくれません。角や物陰の空気は動かず、部屋全体の空気が入れ替わるわけでもありません。
 空気には色がないので確認しにくいのですが、机の上で計算はできても、思惑通りに空気は動いていないのです。
 実際、換気システムで計画換気を行っている住宅でも、シックハウスによる病人が増え続けているのです。
五、24時間365日の換気は浪費の極み
 窒息状態の高気密住宅は24時間365日、換気システムを運転し続けなければ人が住めない住宅です。もともと省エネを目指して開発されたはずの高気密住宅が、恒常的な換気装置によって大変な額のランニングコストを必要としています。省エネ住宅どころか、浪費住宅そのものです。
 そのコストを概算すると、
1、設備費は工事費も含めて120万〜300万円となり、これを単純に20年で割ると年に6万〜15万円。
2、空気を送る換気ファンの電気量は1カ月3000円かかり、1年で3万6千円。
3、強制的にファンで空気を送るためのエアフィルターは少なくとも2か月に1回は交換をしなければ目詰まりを起こします。そのためメンテナンス契約が必要で、金額には上下の幅がありますが概ね年に1万5000円程度かかります。
4、冬は温めた空気を外に出し、外の冷たい空気と入れ替えるため、暖房費のロスが発生します。熱交換機が開発され、その温度維持の効率は70%とか80%と宣伝されていますが、暖房の灯油代は通常の2倍程度かかります。冬期を4か月とすると年に2万8000円の上乗せ。
5、高気密の家は夏に冷房なしでは住めません。1カ月1万として年3万円。
 これらを全て合計すると、高気密住宅による24時間換気住宅は年に21万4000円の費用が余分に必要となります。
六、間違った断熱材は蓄熱材
 家には必ず断熱をしなければなりませんが、その断熱方法は工法によって違い、多くの方法があります。その中で一番危険なことは、断熱によって家が窒息してしまうことと、冬の断熱ばかりを考えて夏には蓄熱材となってしまうことです。
 高気密高断熱住宅に使われている断熱方法は大きく分けて3種類ありますが、その長所・短所は次の通りです。
一、合板パネルによって家全体の気密を保ち発泡ウレタンを吹き付けた断熱方法は、例えて言うなら冷蔵庫の造りと同じです。合板と発泡ウレタンの二重の窒息気密材で造られているため、完全に窒息住宅となってしまい、強制換気なしではとても危険で人は住めません。
二、在来軸組工法も同様に発泡ウレタンという気密材を吹き付けた家は窒息住宅となり、やはり危険で人は住めません。住む人の健康は強制換気に頼っていますが、家の蒸れ・腐れは年を重ねるごとに着実に進んでいます。
三、合板パネルにグラスウールを押し込み、壁の中に湿気が入らないようにビニールシートで覆って両面を囲い目張りをした断熱方法は、ペットボトルやビニールハウスと同じような造りであり、完全に窒息住宅となっています。断熱材のグラスウールは気密の中に布団を入れた状態であり、夏には逆に蓄熱をして蒸し暑い住宅となります。
四、在来軸組工法ではこれと似た断熱方法があります。壁の中にブローイングという紙とビニールの切れ端を吹き込む方法と、グラスウールを押し込み壁の中の通気を止めてしまう方法ですが、これも窒息住宅となり危険で人は住めません。
五、在来軸組の家にウレタン板を断熱材として貼り、目張りをする方法があります。ウレタン板自体が窒息気密材なので、これも同様に窒息住宅となります。
六、昔ながらの造りをしている在来軸組工法は壁の中に断熱グラスウールを押し込み、天井の上にグラスウールをのせて断熱材としています。冬は壁の中に押し込まれたグラスウールのすき間に上昇気流が起き、部屋を暖房すればするほど上昇気流が激しくなり、冷房層となってしまっているため、寒くて結露する家となっています。
 また、天井裏は軒天で外気とつながっているため、やはり寒くて結露のする家となります。夏はグラスウールが壁・屋根の直射によって44度の蓄熱をしてしまい、暑い家となっています。

 

 以上、「一」〜「五」の断熱方法はいずれも壁の中の通気を殺して高気密にしているため、家は呼吸のできない窒息住宅となっています。
 このように壁の中の通気を殺して高気密にすれば、窒息住宅となり危険で住めない家となります。また、「六」のように通気を通して呼吸のする方法をとれば冬は寒く夏は暑い家となってしまいます。
七、ボタンの掛け違え
 暖かさを求める方法として呼吸のできない窒息気密住宅(合板パネル住宅)が生まれ、省エネを背景に高気密化が一段と進んでしまいましたが、これは完全にボタンの掛け違いであり、原点に戻らなければ問題は解決しません。
 業界全体が勇気をもってこの現実を見直さなければならない時を迎えています。公的機関は面目を捨て、住宅メーカーは利害を捨て、地場の建設業者は思い込みや意地やしがらみを捨てて真剣に健康住宅に取り組まなければならない時期に来ています。
 シックハウスは家の構造的な問題であるにもかかわらず、政府は換気システムに特別融資の枠を設けることでお茶を濁しています。
 住宅メーカーや建材メーカーは、壁にエコクロスを貼ったり珪藻土で仕上げたり、炭・活性炭入りのクロスやホルムアルデヒド吸着クロスを活用するなど、小手先の対策で済ませています。
 しかし、これらを身近な例に置き換えてみれば効果が少ないことは明白です。例えば、コップの中に水を入れ、ホルマリンを一滴たらしてラップでふたをした中にエコクロスや活性炭を入れて温めたり冷やしたりしてみてください。一定の容積の中で化学物質などが飽和状態になってしまえば、どんな吸着剤も無意味なのです。根本的な問題を解決しないままの対処療法であることは明白です。
 繰り返しますが、高気密という窒息住宅を造ってしまったことが諸悪の根元です。これを解決しない限り、健康な住宅は生まれません。

 

通気断熱WB工法とは

「通気断熱」という言葉は、聞きなれず理解しにくいかもしれません。通気断熱WB工法とは、簡単にいうと通気層の制御によって家にセーターを着せたり脱がせた状態を作るシステムです。
 暖かさと快適さを求めるために私達人間は衣服に吸湿性の高い綿、羊毛などを選び、寒ければ重ね着をし、暑ければ脱いで風通し良くしています。冬の重ね着は生地自体の防寒効果に加えて衣服の間や生地自体にあるすき間や空間が保温層として機能しています。また、夏に蒸し暑くて汗をかけば下着が汗を吸い取って発散させています。
 家には人が住むわけですから、家も人間と同様に汗をかきます。家に対しても人間とまったく同じ考えをしたのが通気断熱の原点です。
 家を人に置き換えてみると、家にとっての下着とは部屋の壁になります。どんな家にも壁の中には空気層があります。その空気層を重ね着のセーターとして機能させるわけです。では、どのようにして寒ければ着せて、暑ければ脱がせるのでしょう。
 壁の中は通常120mmの空間があります。地域によって違いますが50mm~70mmの断熱材(ウレタン材)を外壁に付けて入れます。これを充填断熱といいます。
 残された空間がセーターの重ね着部分です。寒くなったらこの空気層の通気をしぼり、毛糸のような保温層とします。また、暑くなったら開放してシャツ一枚の状態とし、焼け込を追い出す冷却層とします。この開閉装置を熱感知形状記憶合金によって外気温度の変化に合わせて自由に閉鎖・解放をするので、半袖シャツからセーターの状態へと自動的に環境を整えます。
 具体的には、家の床、壁、天井に第一通気層と第二通気層を造ることにより家に呼吸をさせる工法です。

 通気断熱WB工法の重要なところは、部屋の壁が吸放湿(呼吸)することができ、なおかつ壁の中を重ね着のできる構造にすることにより温かさと涼しさを適度な湿度の中で求めることができることです。
 通気の閉鎖から開放、ここが通気断熱WB工法の最も重要なところです。つまり、壁体内の自然換気システムなのです。これにより、家全体と各個室が呼吸をすることができます。シックハウスや家の蒸れ腐れなど、窒息気密住宅が抱える問題点をすべて解決した工法です。
 WB工法のWはダブル(二重)の通気層、Bはブレス(呼吸)とビルダー(建築者)を掛けています。現在、「建築物の通気断熱構造及びこれに用いる通気制御装置」「室内空気対流装置」の二物件10項目で特許を取得しており、創造活動促進法の認定と経営革新法の承認、目きき委員会による産業可能性大のAランクの認定を受けています。

 

私は高気密住宅の中には人は住めないという信念からこの工法を開発しましたが、開発段階から実験段階でこの工法と高気密住宅との比較をしてきました。
 下の写真は室内にこもる化学物質(ホルムアルデヒド)の濃度実験の模様です。20日間の実験でホルムアルデヒドは、透湿材で仕上げた皮膚呼吸のする「透湿高気密」の部屋(写真左)では、ビニールで仕上げた「窒息高気密」の部屋の10分の1の濃度でした。
この実験が終盤に差し掛かった時、厚生省がホルムアルデヒドの全国調査の結果を発表しました。高気密住宅からは厚生省の指針値である0.08ppmの6倍にあたる0.48ppmが検出されたのです。さっそく通気断熱工法で造った自宅と完成済住宅の4部屋で測定をしたところ、平均で0.05ppmという結果が出てこの工法に対する確信を深めました。
 その後、通気断熱による完成住宅二十数棟で大学との共同研究を行い、次のような実証結果を得ることができました。
 そのデーターによると、この工法による築一ケ月〜三ケ月の住宅では、下表の結果が出ています。
VOC名称 厚生省の指針値 20棟実測平均値
ホルムアルデヒド 0.08ppm 0.034ppm
トルエン 0.07ppm 0.01ppm
キシレン 0.2ppm 0.02ppm
パラクロロベンゼン 0.04ppm 0.0075ppm
各物質の実測濃度は指針値の二分の一から十分の一に止まっています。冬の窓ガラスに結露は無く、暖房費も高気密の換気システムとの比較において二分の一から五分の一という
結果を得ています。
 また、長野県信濃町などの豪雪地方では、通気断熱WB工法の住宅の屋根には雪が積もらず落ちてしまうという結果も出ています。
 夏期においては、四国地方でのデーターによると、外気温35℃の時に室内温度29度でエアコンは不要です。
 この実験結果を踏まえて繰り返し強調したいことは、家に通気道を設けて呼吸をさせると、床下・壁・小屋裏に換気が流れて冬には冷え込みますが、この呼吸を制御することによって夏には冷却層に、冬には保温層になり、四季にわたって家が呼吸をし、シックハウスの解消と省エネを実現することができるということです。「家の健康」は「家の呼吸」が基本になるというのがこの工法の原点です。

 

人と家を同じに考えた家造り
 人間は多くの水分を摂取し、汗をかいて体温の調節をしています。また、四季の温度に合わせて上着や下着を上手に組み合わせて寒暖に対処しています。その下着や上着はほとんどが透湿素材であり、ビニールやナイロンなどの気密性の高い素材は健康に悪いことは誰もが知っています。
 これまで述べてきた通り、健康な家に求められる条件もこれとまったく同じです。
 家の構造と人間を比較してみましょう。
一、 部屋の塗り壁および壁紙は家の下着となります(ビニールクロスといったナイロンの下着を着ていないでしょうか)
二、 壁の中は暖かさを求める長袖セーターとなります(空気が淀んで殺され、一年中セーターを着たままの状態になっていないでしょうか)
三、 家の外壁は風雨から守る上着となります(一年中合羽を着ていないでしょうか)
 通気断熱WB工法は人が暖かさと涼しさを透湿性のある衣類の着替えによって求めていることに着目して、それに限りなく近づけた壁体内自然換気システムです。家にセーターを着せたり脱がせたりするのは、熱感知式形状記憶合金です。
 この工法がシックハウスを克服するためのほぼ完璧なシステムであることは、これまでの測定結果の通りです。この他、従来の家が抱える問題点とこの工法による解決策は以下の通りです。

 

一、床下が冷えるポイント
 家の基礎の所々には付加したが蒸れないように地窓という通気孔が造られています。昔は玉石の基礎で地面と土台の間にはかなりのすき間がありました。夏は風通しが良く、とても涼しいのですが、冬は寒かったのです。そこで、ワラの束で詰めて防寒していました。

 ところが、現在の地窓は一年中開いたままであり、冬には大変な冷え込みになっています。
 一年を通して床下の空気の動きを観察してみましょう。
 床下の空気は、冬には寒い北側から暖かい南側の地窓に向かって水平に動き、常に床の熱を奪っています。夏には南北の温度差が少ないため、ほとんど水平には動きません。そのため大変な開口が必要だったのです。
 通気断熱WB工法は、昔の人がワラを詰めていた調節弁の役割の代わりに「熱感知式形状記憶合金」を用いて、外気の温度によって自動的に開閉する装置を装備しています。これにより、冬は暖かく夏は涼しい壁体内換気システムの床下部が完成します。

 

二、壁が冷えるポイント
これまで述べてきた通り、壁の中には必ず空間があります。昔はコタツなどの局部暖房で部屋全体の温度は上がりにくかったため、壁の中の空間で空気の対流は起きにくい状態でした。

 ところが、最近は暖房機器の能力も向上したため部屋全体の温度が上がり壁も温まるため、壁の中で対流が起きやすくなりました。子の対流(上昇気流)によって冬は家が冷え込んでしまうのです。この対流を一年中完全に止めて殺してしまったのが合板気密。高気密住宅であり、これがシックハウスの原因となっています。
 熱感知式形状記憶合金によって自動的に冬は閉じて夏は開放するのが通気断熱WB工法の自然換気システムです。
三、小屋裏から屋根部が冷えるポイント
 小屋裏とは屋根と部屋の天井との空間のことで、床下から壁の中を通り小屋裏へと通気はつながっています。
 小屋裏には軒天換気孔と屋切換気孔があり、通年開いていました。これは小屋裏に熱気がこもらないように付けられています。
 重要な換気孔ですが、冬は冷たい空気が北側から入り南側に抜け、部屋の壁、天井、床が放熱板となって小屋裏へ上がり、軒天換気孔、屋切換気孔から熱を放出してしまいます。部屋で暖房すればするほど対流による上昇気流が生じ、放熱が加速されます。

 この通気層をすき間と捉えて通気を止め殺してしまったのが合板気密・高気密住宅です。これは熱を逃がさないためにストーブをビニールシートで囲うという発想と同じであり滑稽でもあります。
 家全体(床下、壁、小屋裏)の空気を制御することによってシックハウスや家の冷え・蒸れ腐れといった問題はすべて解決できるのです。

 

夏の焼け込は通気で断熱
 昔の家は夏向きに造られましたが、現在の住宅は冬向けに造られているため、夏は焼け込んで熱気がこもりエアコンなしでは生活ができません。
 夏に焼け込んで熱気がこもる要因は以下の通りです。

一、夏は地域全体が30℃〜38℃になるため、空気は気候的には水平に動きません。そのため、無風状態となり家には熱気がこもってしまいます。
二、直射を受けた屋根の表面温度は瓦で50℃、カラートタンで65℃となります。
三、瓦およびトタン葺きの屋根の下は44℃〜60℃に達しこれが小屋裏の状態となります。
四、壁も同じであり、直射を受けた壁面は50℃となります。(使用材サイディング)
 このように外気温が30℃〜35℃の時に家は50℃の受熱をしているのです。断熱材と思って入れたガラスの蒲団(グラスウール)は壁の中や小屋裏で40℃〜50℃の蓄熱をしているのです。
「一」 で書いた通り、夏の空気は水平に動きにくいのですが、屋根の下端、壁の中の通気層で発生する上昇気流を活用するのが通気断熱WB工法です。外気温35℃に対して家の受熱は50℃〜60℃となります。この温度差によって生じる上昇気流を利用して、家の焼け込みを冷やすのです。
 また、床下の温度は夏23℃であり、この冷気が上昇気流によって引き上げられるので、通気断熱の家は外気温35℃の時でも室内温度は29℃程度でほとんどエアコンがいらない住環境となります。

 

高気密と通気断熱の省エネ度
 高気密工法の場合(強制換気の能力によって違いますが)、45坪の家でまあまあ住める状態だと冬は最低一か月300〜500リットルの灯油を使っています。夏は熱がこもるため、エアコンがなくては住めず、エアコンの運転時間も長時間に及びます。
 高気密とは対照的に家に呼吸をさせ、重ね着の通気断熱WB工法だと、結露はせず化学物質もこもらず、臭いもなく、冬の灯油消費量は150〜200リットルです。夏は熱が部屋にこもらず、常に自然に冷却しているので、長野市などではエアコンなしでも過ごせます。

 

省エネ君ヨドマーズ(特許取得製品)

 この省エネ設計を決定的にしたのが、空気対流扇「省エネ君ヨドマーズ」です。壁体内の通気システムである「通気断熱WB工法」の補完的な装置で室内の空気を穏やかに対流させて空気のよどみや天井と床面の温度差を解消するものです。
 温かい空気は軽いので自然に上にあがります。冷たい空気は重いため下に下がります。箱の中の空気、つまり部屋の空気は温かい空気と冷たい空気が互いに分かれ、頑として交わろうとしないのです。

 

 暖房や冷房をした部屋では天井で28℃〜32℃、床で16℃〜17℃という状態となります。これが今までの人の住む部屋なのです。頑固な空気も性質を理解し素直に導けば交わり、床と天井の温度差が1℃〜2℃となり、部屋の

隅々の空気も動いて淀みがなくなります。
 省エネ君ヨドマーズは、風音がなく身体に風を感じることなく温度差が縮まり、部屋の隅々まで空気が行き渡ります。淀んだ空気がなくなり、結露、カビを極端に抑えます。消費電力は弱回転の場合13Wで一日8円程度です。
 部屋の空気を対流させるためには、天井の中心から四方の壁に向かって圧力を加えて周辺部をプラス圧にし、部屋の中心部は空気を静かに引き上げるマイナス圧にする必要があります。部屋の周辺部がプラス圧となり、中心部がマイナス圧となれば部屋はゆるやかな対流状態となり、温度差が縮まります。
 市販製品の中にも対流装置は数多くおりますが、直接風を感じることなく部屋の温度差が縮まるものは一つもありません。たとえば扇風機は身体に風を感じるだけで、プラス圧とマイナス圧は生じないため、室内の対流は起きません。
 また、シロッコファンによる壁掛サーキュレーターは、本体から約60センチの幅で1メートルの範囲であり、とても部屋全体の空気は動きません。ほんの気休めであり、シロッコ独特の風音があり、とても耳ざわりです。
 熱交換式換気扇(壁掛用)は、最近の省エネによって注目を集めていますが、効果はゼロに近く気休めです(シロッコファン特有の騒音あり)。
 空気の入れ替え、および対流は風量計算では成り立ちません。空気の性質を理解しなければ、シロッコファンや熱交換式換気扇のようにその場で回転しているだけとなります。そんな製品が健康をうたい文句に続々と出ています。小手先のことばかりにこだわっていては健康住宅を求めることはできません。
 基本的には部屋間四角であり必ず隅があります。隅の淀んだ空気に活力を与えるには、壁の呼吸と対流扇により部屋全体にプラス圧とマイナス圧を作ることが必要であり、これにより空気は自然に動きます。

 

以上