今回、改めて「湿気模型」の動画を作ってみました。
透湿壁の原理については下記をご覧ください。
湿気は10,000倍の大きさの穴の中を「濃度勾配」でゆっくり移動します。
「湿気は壁から抜く!」先達が長年の経験から導き出した、日本建築の良さを改めて実感します。
徒然草にあるように
「家の作りやうは、夏をむねとすべし。冬はいかなる所にも住まる。暑き比(ころ)わろき住居(すまい)は、堪へがたき事なり。・・」
が基本だと考えますが、唯一の欠点が「冬の寒さ」でした。
「冬はいかなる所にも住まる・・」と言われても、現代人にとっては冬の寒さは耐え難いものです。
そのため、どうしても断熱性能は欠かせません。
それも、冬は「それなりに」暖かく、夏は「それなりに」涼しくです。
「それなりに」が大切だと考えます。過剰な通年の恒温性は外気温との温度差が大きくなり、却って体調を害する原因ともなり得ます。
その際に最も大切なことは「あまりに機械換気に頼り過ぎず、昔の知恵を生かして快適に暮らす。」ことではないでしょうか。
「汗をかかない 子供」でググってみてください。
これは、現代病とでもいえるのでは・・・。
先人の知恵である下記にも激しく同意!
【「子供は少し飢えさせて育てよ、震えさせて育てよ」これは江戸時代の学者、貝原益軒の「養生訓」の教訓です。少しの「ひもじい」思いと「寒い」思いをさせることが、壮健な身体と長寿の体質を培うというわけです。現代なら「幼児虐待」で訴えられかねません。しかし古来「貧家に孝子顕る」という諺もあります。】(「3日食べなきゃ、7割治る!」船瀬俊介132P)
高温多湿のある日本では、やはり四季の移ろいを感じながら、耐えられない暑さ・寒さを避けて、やわらかな暑さ、やわらかな寒さの中で生活するのが自然だと感じるのは私だけでしょうか?
日本の住宅の歴史を振り返ってみると・・
40年ほど前の昭和60年(1985年)ころまでの日本の家造りは伝統の軸組構造に塗り壁と決まっていました。
丁度その頃、ツーバイフォーという輸入住宅が入って来て、同時に住宅メーカーが続々と参入・誕生し、「暖かい家」を売り言葉に、プレハブ住宅が量産を武器にがブームを引き起こしました。
平成6年(1994年)には、学識者が「高気密・高断熱は省エネルギー住宅だ!」と唱え始めたのです。
ところが、平成8年(1996年)になると、そういった家に蒸れ腐れが見つかり出します。
その後、「シックハウス症候群」が全国的に蔓延し、新聞紙面を賑わしたのはご存知の通りです。
そこで、国(実際には学識者)が決めたのは「(新築の)家の壁に穴を開けて換気扇で1時間に0.5回の室内の空気を入れ替えなさい!」という品確法です。
平成13年(2001年)、WB工法の開発者は「換気扇を使わなくても日本建築の良さである透湿を生かせばシックハウスは防げる!」とデーターを添付して、厚生労働省・国土交通省のアンケートに回答したのですが・・全く無視されてしまったそうです。
現在、主流の高気密・高断熱でエアコン付きの換気装置を設置すれば、一年中「室温25℃」も可能だとは思いますが、換気装置のメンテ、フィルター交換、蛇腹ダクト内の汚れ、顕熱の乾燥、全熱のリターンバックなどが懸念されます。あまり恒温性に拘り過ぎると「幼児の皮膚機能の発達不全に繋がり、汗をかけない子が増えている!」という情報もあります・・。
WB工法は「換気装置を使わないで室内の空気環境を奇麗に保つ」ことを最も大切にしています。
生涯にわたり室内の湿気を「機械換気で入れ替えますか?」「透湿壁経由で入れ替えますか?」
あなたにとって家には「何が大切か?」を良く見極めて計画を進められることをお勧めします。